<7話 幻の音素材>
1983年、つかこうへいさんが演劇活動を休止宣言した最後の舞台「蒲田行進曲」の千秋楽で、客出しに過去の舞台記録テープから(「いつも心に太陽を」~「蒲田行進曲」)一番の名場面の台詞を約10分にまとめたものを流すつもりで事前編集しました。
つかさんに「流したい」と伝えた所
「いらん」
の一言で却下。 Aロールの一番後ろにつなぎ込み本番になりました。
本番も無事終わり、最後の緞帳が下がったら、つかさんがオペレーションブースに走って来て
「さっきの流せ」
「えっ・・・・無理です」
「そうか」
私もばかでした。客出しBGMがAロールだったのです。なぜBロールに入れて置かなかったのか!
本当に悔やまれます。
この素材は私以外誰も耳にしていない幻の音素材になってしまいました。